理解とは何か?「知る」と「わかる」の違い

感嘆

「あ、これ進研ゼミでやった問題だ!」

通信教育の広告漫画でよくある展開ですが、理解は常に「繰り返し」によって生まれます。一度目にまず自分の頭の中に点が生まれ、二度目に点と点が結ばれて線が生まれ、三度目はその延長線上として、見た瞬間に「どうすれば良いのか」がわかるということです。

逆に言うと、似たような問題に三度出くわさなければ、すぐに解けるようにはなりません。授業を挟んで予習や復習が重視されるのもそのためです。「予習、授業、復習」と三度こなせば、別の問題集やテストに類題があった時に、すぐに解けるようになります。

テスト勉強は理解した内容を忘れないようにするための反復です。これは単に思い出すだけなので、それほど時間はかかりません。テレビゲームは繰り返すほど、タイムアタックの記録を短縮できます。同じように復習も繰り返すほど、時間が短くなっていきます。ですから何度も復習するからといって3倍、4倍と時間がかかるわけではありません。この仕組みを知らないと、「勉強はなんて大変なんだ」と誤解してしまいます。

とはいえ大半の場合、復習どころか予習さえおろそかにされています。それは「予習の段階でわかるようにならないといけない」という思い込みがあるためです。予習は「問題をわかるようになるため」ではなく、「問題を知り、わからない状態になるため」に行います。「知る」と「わかる」にははっきりとした区別があるのです。

予習なしに授業を受けると、問題について「知らない状態」なので、単に答えを「知る」ことになります。一方予習して授業を受けると、問題が「わからない状態」なので、答えが「わかる」ようになります。

知るというのは「問題」と「答え」をセットで覚えているだけです。しかし、「ああでもない、こうでもない」と悩んでわからない状態になってから答えを知ると、頭の中に色々なとっかかりができているので、そこに結びついてまるで染み込むように理解が深まります。そうして初めて、人間は応用が利くようになるのです。

つまり、「問題を知らないなら、答えを知るだけ」になり、「問題がわからないなら、答えがわかるようになる」ということです。この二つには天と地ほどの隔たりがあります。一度解いただけで二回目としてテストを受けるのと、二度解いて三回目としてテストを受けるのとはでは、正確さもスピードも違ってきます。成績の差こうして生まれます。

勉強を例にとりましたが、人生そのものにも同じことが言えます。むしろ人生の方がますます重要です。学生時代は数学、英語など答えが一つに決まっています。しかし大人になって社会に出ると、「自分がどう生きれば良いのか」について決まった答えはなく、そもそも設問自体がありません。自分で問題意識を持たなけれらばならないのです。

しかし、私たちはこれを怠ります。「わからない」という状態が気持ち悪いからです。「自分はもう大人なのだから、たいていのことはわかるはずだ」という自惚れもあります。しかし理解に大人も子供もありません。「似たような経験を三回繰り返しているかどうか」だけです。

先日、とある女性から離婚の相談を受けました。旦那は一度離婚に応じましたが、それから「離婚は認めるけれど、このまま同棲を続けてほしい」と話を覆されてしまいました。一緒に居たくないから離婚するのに、まるで理屈の通らない馬鹿な主張ですが、人間が追い詰められると、そういう事もままあります。

旦那が筋が通らない主張をする原因は、女性にもあります。「これでもう別れられるんだ」と安心してしまったからです。人間は正しさや道理で行動しているのではありません。「自分の意を通したい」という交渉として行動しています。

離婚は用紙を役所に届けて初めて成立します。「その瞬間まで気を緩めないでください」とアドバイスしましたが、残念ながら生かされませんでした。とはいえ、これは彼女の怠慢ではありません。勉強になぞらえれば、彼女は一度解いただけで二回目としてテストを受けた状態です。どこかでもう一度私と話す機会があれば、二度解いて三回目としてテストを受けるように、夫につけこむ隙を与えずに進んだはずです。物理と同じく心理も厳密なルールによって進行しています。

人間関係はお互いの言葉にならない思惑が交錯しています。考えや感情が仕草や目配せに表れます。それによって会話の内容が変化します。自分が弱腰だったり、隙を見せれば、そこを狙う人が出てきます。

離婚調停中の夫婦であればなおさらです。隙を見せなければ、そもそも不利益な会話自体が起こりません。彼女の場合は、今回それを二度目として学んだので、次に似たような問題が起きそうになれば、事前にそれを察知して対応できるようになるでしょう。

人間関係は相手に何を話すか、どんなアプローチをするかだと考えられています。でも、本当は違います。自分が何をどう考えているかがわかればわかるほど、会話の機先を制することができます。

自分がどんな場面で、何を好み、何を嫌がるのか、心の変化にもっと気を配ってください。二度似たような経験すれば、その経験について自分の心境をはっきり認識できるようになります。そして三度目には、「自分はこうする」と主体的に行動できます。これがいわゆる自己啓発です。学びは学生時代に限らず生きている限り求められ、理解は繰り返しから生まれます。

 

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