人はどうすれば幸運を掴めるのか。自分の直感を信じるコツ。

直感, 美意識

サロンメンバーのTさんから面白い話を聞きました。いつも万馬券を狙っている競馬好きの知人が、その日はなぜか買う直前で心変わりして、自分が予想した着順から変えてしまい、1500万円の万馬券を逃したそうです。1位から3位までに入賞する馬の予想は当たっていて、直前で着順さえ変えなければ万馬券を掴めていたそうです。

Tさんは知人からこの話を聞かされた時、「大金を受け取る用意ができてなかったんだな」と感じたそうです。いつも通りにしていればいいだけなのに、なぜかその時だけ心変わりしてしまい幸運を逃す。こういった出来事はギャンブルに限らずしばしば起こります。そこには未来に対する予感、いわゆる直感が前提としてあります。

私がある勉強会に参加した時、くじでペアを決めることになったのですが、自己紹介の段階である女性に対して「あ、この人とペアになるな」と妙な確信を抱いたことがあります。実際にくじを引くと、結果は私の予感通りでした。面白いことに相手も同じ印象を持っていて、「私もたぶんあなたとペアになると思いました」と話してくれました。

こうして始まったつきあいは一気に絆が深まります。私は普段どんなに話が弾んでも連絡先を交換したりはしないのですが、この時ばかりはこちらからお聞きして、相手も快く教えてくれました。その方とはいまでも定期的にランチで集まって、お互いの近況をシェアする仲です。

未来のことがわかるなど、科学的ではないかもしれません。しかし、こうした直感は誰にでもあると思います。問題はその直感を受け入れるか、それともその直感を避けてしまうかどうかです。私は直感のままに行動して素晴らしい友人を恵まれ、Tさんの知人は直感を避けて1500万円を逃しました。では、どうすれば直感を素直に受けいられるようになるのか、その決め手になるのがアイデンティティです。

アイデンティティは心理学の用語で、「自己同一性」と訳されています。自分という一貫性、「私は私である」という感覚のことです。「私は私である」と聞くと、そんなの当たり前だと思うかもしれません。しかし、私たちは普段から自分のアイデンティティを簡単に見失っています。

他人の意見や常識、あるいは「こんなことを言ったらおかしいと思われるんじゃないか」「こんなことをしたら笑われるんじゃないか」という不安によって、私たちは自分の希望や自分らしさをないがしろにします。いつもは万馬券を買う自分を捨てて、手堅い予想に走るのがまさにそれです。

自己啓発を続けていると、「自分」というものがいかに小さなものか、よくわかってきます。私たちはすぐに自分を忘れて、他人に迎合します。それもそのはず、自分というのはこの世に一人しかいません。一方、他人は60億人もいます。よほど注意して生活していなければ、「自分」は簡単にかき消されてしまいます。

私たちが見聞きする情報のほとんどは、自分にとってどうでもいい余計なことです。その情報に価値がないということではなく、自分の個性や感性にマッチしていないのです。小説家になりたい人にとって、仮想通貨は本来どうでもいいことです。

しかし「億り人」とかいう馬鹿みたいなネーミングによって簡単に大金を稼いでいる人がいると宣伝されたり、日本経済が先行き不安だと脅かされたり、あるいは「自分には物語の才能がないかもしれない」と自分自身の心の声によって、「仮想通貨やってみようかな」という訳のわからない結論に辿り着きます。それが人間の弱さです。

一方、成功者はどんなに馬鹿にされても、自分の決定を堅持します。スティーブジョブズがiphoneを発表した時、私たち日本人はimodeの焼き直しだと笑っていました。しかしiphoneは瞬く間世界を席巻し、日本の携帯はガラパゴスだと言われるようになりました。

コンビニの生みの親、セブンアンドアイホールディングスの元社長、鈴木敏文もそうです。彼がコンビニでおにぎりを販売しようとした時、「そんな自分の家で誰でも作れるものが売れるわけがない」と社内で猛反対を受けたそうです。しかし、そんな経緯があったとは信じられないくらい、コンビニのおにぎりは私たちの生活に浸透しています。

彼らが周りの声に耳を傾ける人間だったら、その成功はありませんでした。スティーブジョブズが「そうだよな。日本のimodeのパクリだもんな」とか、鈴木敏文が「そうだよな。おにぎりなんて家で作ればいいもんな」と考えている姿を想像できるでしょうか。もちろん彼らもそういった心の声と戦ったのもかもしれません。しかし、私たちが目にするのは成功した姿だけです。もし彼らから学ぶなら、成功する前について想像を巡らせる必要があります。

多くの成功者は自分の成功の理由について、「私は幸運だった」と述懐しています。では、その幸運は全くの「棚からぼたもち」で、少しもコントロールできないものなのかというと、そうではありません。なぜなら彼らは自分の前に流れてきた幸運を、自分の直感に従って掴んでいたという事実があるからです。そして、自分の直感に従う勇気は、「自分が自分である」ことをいつも見失わないアイデンティティによって支えられています。

「星をたどる」では、人間の意識を4つに分けています。自分が持って生まれた個性や感性である美意識、現在の人間関係や環境に反応する顕在意識、過去の経験がこだまとなって影響してくる潜在意識、食欲や性欲といった動物的欲求。アイデンティティを確立するには、この4階層にアプローチしなくてはなりません。答えは「やりたいことをやろう」というだけで極めてシンプルです。しかし、そのシンプルさに至るために様々な紆余曲折が必要なのです。

「個性を大切に」「自分らしく生きよう」とフレーズは、とても安っぽく扱われています。「夢を持てば叶う」というインスタントで耳触りのよい嘘が蔓延しています。しかし、真面目に自己啓発を実践しようとすれば、メカニズムがあることに次第に気づきます。今この記事を読んでいるのが、その気づきの始まりです。

創造性や閃きについて探求していると、いずれ「直感」という概念に行き当たります。しかし、直感について調べても科学的あるいは客観的、再現性のあるアプローチは見つかりません。なぜなら直感は事あるごとに起きていて、問題はその直感を自分が受け入れられるか、信じられるかどうかだからです。

自分は何が好きなのか。何を求めているのか。何を煩わしいと思っているか。何を疎ましいと思っているのか。どんな物に囲まれたいのか。どんな人間に囲まれたいのか。何を捨てなくていけないのか。誰と付き合うのをやめなくてはいけないのか。その一つ一つの選択によって自分は確立されていきます。そうした自分なくしては、直感も幸運もありません。

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