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今の仕事を辞めたいのに、転職を決断できないのはなぜか?

「今の仕事を辞めたいけど、別にやりたいこともない」

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転職は大きな決断の一つです。転職をすると業務内容や給料や休日だけでなく、仕事の人間関係が一変します。場合によっては引っ越すことになって、プライベートの人間関係まで変わる可能性もあります。そのため、なかなか踏ん切りがつかないことも珍しくありません。

「今の仕事を辞めたいけど、別にやりたいこともないから、転職もできずに同じ所で働き続けている」。そんな煮え切らない自分に悩んだ時は、転職について考える前に、「自分がどんな人生を望んでいるのか」を確かめる必要があります。そのヒントになるのが「人物の影響」です。

人物の影響には、「原動力」と「呪縛」の2種類があります。誰かの言動が喜びや怒りになって、自分の決断を促してくれる。その影響が原動力です。誰かの言動が悲しみや常識になって、自分の決断を妨げてくる。その影響が呪縛です。「誰が原動力なのか」「誰が呪縛になのか」に気づくと、自分にふさわしい決断ができるようになります。

母親の自死が転職のきっかけに

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ある男性は母親の自死が転職のきっかけになりました。その母親は「もし急に家の解約をされたら、もう行く当てがない。消えるしかない。」と生前に漏らしていました。また、彼がまだ大学生だった頃から、自分の葬儀や財産関係の手続きについて、言い残していました。その言動が自死を暗示するサインだったと気づいたのは、母親が亡くなった後でした。彼は母親と向き合えなかったことを後悔しました。

後悔には、自分の不甲斐なさに対する怒りが含まれています。どうして自分はこんなに情けないのか。あの人のために、もっとできたことがあったのではないか。そうした怒りは自分を次に進ませる原動力になります。彼は母親と向き合えなかったことで、「誰かと向き合いたい」と考えるようになりました。そしてその結果、眼科の医療機器メーカーから、よりコンサル色の強いデジタルマーケティング支援の会社に転職しました。

「『もし急に雇用の解約をされたら、もう行く当てがない。やることもない。消えるしかない』。例えばこんな人が増えると考えています。そんな人達の太陽なりたい。きっと、それがあの時出来なかった僕のリベンジです。僕は太陽になって、皆んなが自然体で居られるようにしたいと思います」。

彼がそう書き記して転職活動を始めたのは、母親が亡くなった七ヶ月後でした。実際に転職できたのは、それからさらに九ヶ月後でした。このように「人物の影響」による決断には、年単位の時間がかかります。しかし、「このままでいいのかな」と考えているだけで、ずるずると数年過ぎてしまうよりはずっとマシです。

「これから」は「これまで」から見つかる

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人物の影響に気づくには、記録することが大切です。人間は忘れっぽい生き物です。どんなに心を揺さぶられたことも、年単位の時間が過ぎると印象が薄れます。そのせいで自分を変えたいと思っていても、そしてそのきっかけになるような出来事が起きていたとしても、結局それまでと変わらない生活を送ることになりがちです。

自分のことがわからなくなるのは、記録不足が原因です。誰のどんな言動について、自分が何を思ったのか。これを記録して定期的に見返すだけで、自分がどうしたいのか、何をすればいいのかが自然とわかるようになります。自分の「これから」は、自分の「これまで」を振りかえることで見つかります。

また、人物の影響は部分的です。彼はもともと母親の過干渉に悩んでいました。前の会社に就職して一人暮らしを始めた時に、「これで母親から解放される」と安心したそうです。しかし実際はその後も母親の過干渉は続き、実家から荷物が送られてくるだけで恐怖心が起こるほど、追い詰められていました。

しかし、その母親の自死が、彼に転職を決断させています。彼女の遺書には、「心つらいのに話を聞きおかんの心に寄り添ってくれてありがとう」と感謝の言葉が書かれていたそうです。この言葉が、「誰かと向き合う」という彼の考えに影響を与えているのは明らかです。

このように同じ人物の影響がある面では「呪縛」になり、またある面では「原動力」になることはよくあります。「人物の影響」を記録することは、誰のどの言動が、自分に影響を与えているのかを見極めるのにも役立ちます。

やり残していることが、次にやること

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給料や休日といった労働条件で、転職先を決めることももちろんあります。しかし、もしそうした内容だけでは踏ん切りがつかないのなら、一歩引いて人生全体を振り返ってみてください。仕事とは全く関係ないところで、誰かに心を揺さぶられる体験をしていて、それが誰かのために働く理由になってくれるかもしれません。

そうした体験の一つが後悔です。あの時、ああすればよかった。あの時、ああ言えばよかった。そんな風にやり残したことは誰にでもあります。そして、そのやり残したことが、自分が次にやることになります。後悔は決して悪いものではありません。その後悔に関わった人物としっかり向き合えば、それが決断を促してくれます。

まとめ

  • 転職の理由になるのは給料や休日だけではない
  • 母親の自死が転職のきっかけになった
  • 母親と向き合えなかったことで、誰と向き合いと考えるようになった
  • これまでを振り返ると、これからが見つかる。
  • やり残したことが、次にやることになる。

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佐々木誠

佐々木誠

作家。コンサルタント。「人物の影響」を特定して人生を変える「マインドレコーディング」を提唱。個人相談サービス『星を辿る』を運営し、心臓外科医、税理士、スポーツ振興の社団法人理事、小学校の教師など様々な業種にクライアントを持つ。日刊SPA!にて「魂が燃えるメモ」を連載。『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)発売中。

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