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『キングダム』の信はなぜ天下の大将軍を目指し続けられるのか?

「天下の大将軍」になる

『キングダム』という漫画があります。古代中国を舞台に、戦争孤児で下僕だった主人公『信』が武将として成り上がる中国時代劇です。

敵に対しても味方に対しても、信は「天下の大将軍になる」と繰り返し宣言しています。「海賊王に俺はなる」と繰り返すワンピースの主人公ルフィと一緒です。

普通は同じ言葉を何度も聞かされたら飽きてきます。しかし、彼らの言葉はそうならず、繰り返せば繰り返すほど重みが増していきます。それは、その言葉の背景に人間性があるからです。

行動の背景には、常に人物の影響があります。信の「天下の大将軍になる」という言葉は、幼馴染だった『漂』という人物から影響を受けています。

天下の大将軍を目指す信の心理

qimono / Pixabay

漂は信と同じく戦争孤児で、信とともに下僕として育ちました。「戦争ですべてを奪われたから、戦争ですべてを奪い返す」と二人は考え、天下の大将軍を目指して、日々剣の特訓に励んでいました。

しかし、漂は『王子の暗殺』という陰謀に巻き込まれて、命を落としてしまいます。そして死の間際で、「俺達は力も心も等しい。二人は一心同体だ。お前が羽ばたけば俺もそこにいる。信……俺を天下に連れて行ってくれ」と言い遺します。

信にとって漂は幼い頃から共に育った友人、同じ夢を共有した仲間、その夢のために競い合ったライバルです。こうした親しい人物の死は、とても強く影響します。また、その影響は基本的にネガティブです。漂の死に対して、信は強い悲しみと強い怒りを覚えていました。

しかし、信に芽生えた感情はネガティブなものだけではありませんでした。「俺を天下に連れていってくれ」という漂の遺言のおかげで、信は「天下の大将軍になる」という夢を追いかけ続けることができたのです。

『ワンピース』には、この信と似たような体験をしたキャラクターがいます。それは「世界一の剣豪になる」という目標を掲げているゾロです。ゾロには『くいな』という幼馴染がいました。くいなはゾロにとって幼い頃から育った友人、同じ夢を共有した仲間、そして夢のために競い合ったライバルでした。

「どちらかが世界一の剣豪になる」と二人で約束した翌日、くいなは家の階段で転んで命を落としてしまいます。ゾロは人間の命の儚さに悲しみと怒りを覚えます。しかし、すぐに立ち直って、「世界一の剣豪になって、くいなのいる天国まで自分の名前を轟かせる」と誓います。

強い悲しみは人を立ち止まらせます。その停止が何年も続くことすらあります。歩みを止めずに前に進み続ける姿を描くことで、『キングダム』や『ワンピース』はキャラクターの心の強さ表現しているのです。

「仲間とのやりとり」を思い出す

AdinaVoicu / Pixabay

『キングダム』は史実を基にしているとはいえフィクションです。しかしキャラクターの心理は、現実の人間と共通しています。でなければ誰も物語に共感したりしません。

信のように何かを目指し続けるには、強い「人物の影響」が必要です。マインドレコーディングでは、そのきっかけになるような「誰かに心を揺さぶられた体験」を原風景と呼び、これを思い出すようにアドバイスしています。

もし何かを成し遂げたいと思うなら、まずは誰かに心を揺さぶられた体験を思い出そうとしてみてください。「仲間の死」や「仲間の遺言」ほどハードなものでなくとも、『夢を叶えるために、仲間と過ごした時間』だけで十分です。

仲間と過ごした時間には、唯一無二の高揚感があります。それは「自分はこういう瞬間のために生きているのだ」と、生を実感する瞬間です。そして、その高揚感が前に進む原動力になります。

どんなに理屈をこねても、またどんなに行動しようとしても、モチベーションは生まれません。なぜなら、モチベーションは誰かに影響を受けた結果だからです。原風景を思い出せば、そのことが体感できます。ぜひマインドレコーディングをチャレンジしてみてください。

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佐々木誠

佐々木誠

作家。コンサルタント。「人物の影響」を特定して人生を変える「マインドレコーディング」を提唱。個人相談サービス『星を辿る』を運営し、心臓外科医、税理士、スポーツ振興の社団法人理事、小学校の教師など様々な業種にクライアントを持つ。日刊SPA!にて「魂が燃えるメモ」を連載。『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)発売中。

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