こんにちは、佐々木です。8月24日に出版される拙著、「人生を変えるマインドレコーディング(扶桑社)」の第1章をブログで公開いたします。「何をやっても上手くいかない」「何かを見落としている気がする」と感じているならば、あなたが見落としているものが、きっと本書で見つかると思います。ぜひご一読ください。
「信念」がなければ人は動けない
どんなことでも成功するには行動が必要です。考えるだけで成功するビジネスもダイエ ットも大学受験もありません。そして、人は「こうすればうまくいく」という理屈だけでは行動できません。行動するには理由がいります。その理由になるのが信念です。
私は小学三年生まで、劣等生でした。勉強にまったく興味がなく、いつも友達と遊んでばかりいて、夏休みには補習に呼ばれていました。テストの点数があまりにひどく、「これでは親に見せられない」と思って、こっそりゴミ箱に捨てたこともあります。
しかし、四年生に進級して塾に通い始めたときに、変化が起きました。その塾は算数の授業にパソコンを導入していました。画面に問題が表示され、キーボードで答えを入力すると、コンピュータが判定してくれる仕組みです。私はこの「コンピュータに教わる」という体験にのめりこみました。
この授業のおかげで勉強が習慣化すると、あっという間に算数が得意教科になりました。すると算数以外の教科でもいい点数が取れるようになり、中学では「あいつはめちゃくちゃ頭がいい」と言われるようになり、高校では定期テストで何度か学年一位にもなりました。テストをゴミ箱に捨てていたころとは、雲泥の差です。
成績が伸びたのは、つまらないと思っていた勉強を面白いと思えるようになったからです。「学ぶことは面白い」という信念を持てたことで、補習を受けていた劣等生が、学年 一位の優等生に変わる。それが信念の魔法です。
思えば、そのコンピュータにそれほどの人間味があったとは思えません。ただ「ヨクデキマシタ」とか「ガンバリマショウ」といった簡単なメッセージが画面に流れるだけです。しかし、子供の私には、そのメッセージがとても心に響いたので、勉強が面白いと思えるようになったのです。
「勉強は大切」とか「勉強するのは自分の将来のため」といったお題目は、勉強する理由にはなりません。これはどんなことにも当てはまります。「運動は大切」とか「食べすぎは禁物」とか「一生懸命、働いたほうがいい」といったお題目で取り組めるようになるのなら、誰も苦労はしません。
これは「こうすればうまくいく」という理屈にも同じことが言えます。理屈でうまくいくとわかっても、私たちはなかなか行動できません。仮に行動できたとしても、今度は長続きしません。お題目も理屈も「わかってはいるんだけど......」で終わってしまいます。
自分を動かすのは「わかっていること」ではなく、「信じていること」です。そして、その信じていることが信念です。「勉強は面白い」という信念を持つのか、「運動が得意 だ」という信念を持つのか。「仕事が大切」という信念を持つのか、「プライベートが大 切」という信念を持つのか。何を信じているかで、どんな行動を取るかが決まります。
何をやっても身につかない、長続きしない、途中で投げ出してしまう、すぐに飽きてしまう、やる気が出ない、モチベーションが持続しない、情熱を持てない。そうした悩みは 信念によって解消できます。
お題目や理屈ばかりにとらわれると、心が置き去りにされて、物事が平面的に見えてき ます。私たちは合理的、科学的、必然的といった考え方に偏りすぎていて、自分の心が見 えなくなっています。人間には「わかる」と「信じる」の両方が必要です。
信念が作る心の世界は感情、物語、偶然に彩られています。信念の発見は心の発見です。そこには、大きな驚きと喜び、深い慰めと癒やし、そしてたくさんの変化と可能性が秘められています。