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ネガティブ感情を浄化する「夏越の大祓え」。年中行事はメンタルケアに役立つ。

投稿日:2018年7月1日 更新日:

神社には「夏越の大祓え(おおはらえ)」という行事があります。毎年6月30日に全国の神社で行われ、半年の罪穢れを祓い清めるのが目的です。「罪穢れ」などというと仰々しく聞こえるかもしれませんが、今風にわかりやすく言えばネガティブ感情です。誰だって「このやろう」とか「なんで自分がこんな目に」と思うことはありますし、また自分自身に対して「なんて自分は不甲斐ないんだろう」と悩むこともあります。

「夏越の大祓え」はそういったネガティブ感情、罪穢れを神様に祓い清めてもらう趣旨で行われます。神様が本当にいるかどうかはわかりませんが、大祓えでは普通では考えられないような色々なことが起きます。私が今年参加した大祓えもそうでした。

神社参拝というと、普通は厳かに粛々とムードで行われます。賽銭箱の前ではなく、拝殿まで上がって参拝する場合はなおさらです。しかし今回は老人が勝手に祝詞(のりと)を唱えたり、子供がきゃあきゃあ喚いたりとだいぶカオスな様相でした。友人の神主の話だと、参拝者が突然泣き喚き出したかと思えば一転、笑い転げたりと、「本当に無事に終わるんだろうか」と心配する時もあるそうです。

大祓えの参拝者は「半年の罪穢れを祓い清める」という目的を理解しています。その集団としての意思が、それぞれの潜在意識に抑圧された悪感情を噴出させ、普段ならありえない振る舞いを引き起こします。これは夏祭りといった他の行事でも変わりません。たとえば街中で大声を上げるのは普段なら憚られる行為ですが、夏祭りの時はむしろ威勢の良い掛け声が求められます。

大祓えでは事前に人型という紙人形に自分の名前と生年月日を書いて、身体の悪い部分にこすりつけ、息を三回吹きかけるという準備をします。そして、その人型を神前に供えるという、かなり呪術的な行程を踏むので、特に深く意識に影響をもたらすのでしょう。

そのカオスぶりに私は「まだ途中だけど抜け出して帰ろうかな」と思ったのですが、そうした始まり方でも進むにつれてだんだん整って、「終わりよければすべてよし」という結末になるのがいかにも神事です。最後はさっぱりとした気持ちで終わることができました。

おじいさんが勝手に祝詞を唱え、子供がきゃあきゃあと喚いていた時、拝殿内には明らかにイライラしたムードが漂っていました。しかし、そうして引き出された悪感情が最後にはきちんと祓い清められました。大祓えにはそういうストーリーを通して、ネガティブ感情を浄化する機能があります。今回はそれを体感できました。

大祓えは六月と十二月の二回行われます。そういったネガティブ感情をクリーニングするには半年に一度くらいのタイミングが必要だと、昔から理解されていたのでしょう。それは他の宗教も同じでたとえばキリスト教ではクリスマス、イースター、ペンテコステといった年中行事があります。

これだけ科学が進み合理性が重んじられる世界に、神様の居場所はほとんどありません。にもかかわらず私たちが実際に暮らしている文化には、その姿が見え隠れしています。宗教は仏像や神棚を拝んだりしなくても、夏祭りや墓参り、初詣という行事として信仰されています。もし神も先祖霊もいないなら、祭りもお墓参りもしなくて良いはずです。わざわざ実家に帰って墓参りなど、お金と時間の無駄遣いでしかありません。

にもかかわらず、私たちがそう極端に振り切れないのはなぜでしょう。そうした「存在しないもの」に対する祈りが、私たち自身の役に立つからです。古来から伝わる年中行事によってつくられるサイクルには、定期的なメンタルケアの意味があります。身も蓋もない言い方ですが、神社やお寺、教会は自己啓発に最適です。

神道ならば初詣では新年を抱負を抱き、大祓えでは半年間のネガティブ感情を浄化する。仏教ならばお盆のお墓参りで自分の近況について報告し、大晦日に除夜の鐘に耳を澄ませて一年を振り返る。その行事を通して、私たちは自分の心と向き合うのです。そして心の問題だからこそ、「どうせ何の意味もない」と冷めた気持ちよりも、本当に神や仏や先祖がいると思った方が、そこから汲み取れる自分自身の想いもより深いものになります。

日本という国に生まれた私たちは思考も感情も、その文化のベースとなった神道あるいは仏教的な思想から逃れられません。であれば、その思想に基づいてメンタルケアを行った方が良いというのが私の考えです。夏越の大祓えに限らず、お盆や初詣などこれからの生活で気が向くものがあれば、ぜひ参加してみてください。一般的な年中行事も本気になって参加すれば、そこに自分の生きるヒントが見えてきます。

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