マインドレコーディング

過去の後悔と向き合い、悲しみから立ち直る方法

特定の相手にこだわる理由

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障害者作業所で支援スタッフとして働くある女性は経験豊富で、周りからの信頼も厚い人物でした。ただ、彼女には難点が一つありました。家庭がトラブルを抱えている障害者に関わると、冷静でいられなくなってしまうのです。

彼女の働く作業所では、支援スタッフが担当する障害者は一、二年で交代するのが慣例でした。ところが、彼女はある特定の障害者に対してだけ、四年以上も担当を続けていました。

彼女がそうした行動を取るのには理由がありました。彼女はもともと幼稚園の先生をしていました。その幼稚園の先生をしていた時に、自分のクラスの園児が一家心中の道連れになって亡くなりました。

彼女は園児の死を悲しみ、「何も気づけなかった」と自分を責めました。後から考えれば、亡くなった園児と接していた時に、「おかしい」と感じた点がいくつもあったそうです。その「気づけたはずなのに気づいてあげられなかった」という後悔が罪悪感を生み出し、家庭がトラブルを抱えている障害者に対して、冷静でいられなくなっていました。

人の死は強い影響を与える

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人の死はとても強く影響します。それが老衰のような自然なものでなければなおさらです。どれだけ時間が経ったとしても、どこかで向き合う機会がなければ、ずっとその影響を受け続けます。

彼女はその園児が亡くなる前日、幼稚園から家に送り出した時のことを、「子供の笑顔も、手触りもいまだに覚えている」と言いました。その園児が亡くなったのは、二十年以上前ものことです。二十年以上経っても、彼女の心には、園児の存在が残り続けていました。

彼女はこの過去の体験を思い出すことで、「私は救いたくても救えなかった人がいて、同じような家庭を見ると突っ込んでしまう。自分を犠牲にしてしまう」と気づくことができました。

過去の体験を思い出し、亡くなった園児と向き合った彼女は、これまで以上に周囲に信頼されるようになりました。スタッフ会議のような場面で、自然と彼女の意見が通るようになったそうです。これが思い出すことで人生を変える、マインドレコーディングの効果です。

後悔と向き合い、悲しみから立ち直る方法

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人生は新しいことを始めるのではなく、まず「思い出すこと」で変わります。過去の体験は一人で思い出せるものもあれば、そうでないものもあります。悲しみの呪縛から抜け出すには、一人で思い出そうとするのではなく、「誰かに相談すること」が必要です。そのためにマインドレコーディングでは、「自分の体験を人に話すこと」を一つのステップにしています。

彼女が自分の体験を話した相手は、マインドレコーディングを実践する男性でした。後日、この男性は「頑張るのをやめられた」と彼女から報告を受けました。この「頑張るのをやめられた」という一言に、どれだけ重いものが込められているのか。それがわかるのが「人の心がわかる」ということです。彼女は自分を縛りつけていた体験から、自由になれたのです。

人が前に進むのも、どこかで立ち止まるのも、誰かが影響しています。自分に限界を感じたら、マインドレコーディングを実践して、「影響を受けた人物」を特定してみてください。それができた時、二十年前に亡くなった園児の影響に気づいた彼女のように、再び前に進むことができるようになるでしょう。

人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)

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佐々木誠

佐々木誠

作家。コンサルタント。「人物の影響」を特定して人生を変える「マインドレコーディング」を提唱。個人相談サービス『星を辿る』を運営し、心臓外科医、税理士、スポーツ振興の社団法人理事、小学校の教師など様々な業種にクライアントを持つ。日刊SPA!にて「魂が燃えるメモ」を連載。『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)発売中。

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