「顔が見える相手の役に立ちたい!」

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ある男性は建築設備会社で、設計の仕事をしていました。ある日、彼が社内メールを眺めていると、自分が二年ほど関わった施設の取材記事が載っていました。
その記事を読んで彼の心に残ったのは、インタビューを受けているお客さんの写真と、感謝の言葉でした。このことをきっかけに彼は、「顔が見える相手の役に立ちたい!」というモチベーションが自分にあることに気づきました。
この男性の体験談には、モチベーションの性質が含まれています。その性質とは、「人物の影響がモチベーションになる」ということです。仕事を通して誰かに喜ばれると、「次の仕事も頑張ろう」と自然と思えるようになります。この「自然に思える」というのがモチベーションのポイントです。
仕事のモチベーションは「仕事内容そのものにある」と一般的には考えられています。たとえば設計の仕事をしているなら、「設計そのものが好き」ということです。もちろんそういうタイプもいますが、全員に当てはまるわけではありません。「なんとなく今の仕事を選んだ」「気づいたら今の仕事をしていた」ということもよくあります。
自分が「なんとなく」「気づいたら」というタイプなのに、「好きなことだから」というモチベーションを見つけようとするのは無理があります。また、「好きなことを仕事にする」という考えに囚われて、就職先や転職先を探すと、いたずらに苦しい思いをすることになります。
人生は思い出すことから変わり始める

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もしこうした苦しみに心当たりがあるのならば、「好きなこと」をモチベーションを求めるのは諦めて、「誰かに喜ばれる」「誰かに感謝される」といった人物の影響にモチベーションを見つけましょう。
「好きなこと」には特定の分野に対する蓄積があります。たとえば「小学生の頃から鉄道が好きで、電車の運転手になった」というのは、その典型です。しかし、人物の影響をモチベーションにする場合、そうした蓄積はいりません。ただ、自分が喜ばれたり、誰かに感謝された時のことを思い出せばいいだけです。そうすれば別の人間にも同じ振る舞いができるようになります。人生は何を思い出すか、何を覚えているかで変わります。
そのためにマインドレコーディングは「ヒントを集める」というステップを用意しています。自分が気になった人物について考えていると、その人物にちなんだ自分の体験や感情がよみがえってきます。すると、その体験や感情が理由になって、今までと違う行動が自然とできるようになります。
建築設備会社で働くこの男性は、仕事に対するモチベーションが自分にないことを自覚していました。そんな彼が一通の社内メールによってモチベーションを高められたのは、マインドレコーディングを実践していて、「ヒントを集める」という発想があったからです。
マインドレコーディングは「自分に影響を与えた人物」や「誰かに心を揺さぶられた体験」を思い出すことで、人生を変える手法です。「好きなことを理由にしようとしても、仕事のモチベーションがあがらない」と悩んでいるのならば、ぜひ実践してみてください。