「失敗を必要以上に怖がりすぎだ」

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ある男性は町内行事の左義長の世話をすることになりました。そのための連絡文を書こうとしてあれこれと悩んだので、そのことを自分の妻に相談したところ、「あまりにどうにでもなることに悩んでいて、失敗を必要以上に怖がりすぎだ」と言われました。
彼の妻は「子供の時によくお父さんに怒られたのが影響してるんじゃないの?」と続けました。そして、義父が自分たちの子供を叱った時のことを挙げて、「あの剣幕で怒られたら胸がキュッとなるよ」と言いました。
その話を聞いて、彼ははっとしました。自分がまだ保育園児だった頃に泣き虫で、父親に「泣くな!」とよく叱られていたことを思い出したからです。「失敗を必要以上に怖がりすぎる」という自分の心理に、父親の影響があったことに彼は気づきました。
人と向き合うということ

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子供の頃のネガティブな体験は、強く印象に残ります。自分が笑い者にされたことや、仲間はずれにされたこと、そして今回のように強い怒りをぶつけられたことは、いつまでも覚えているものです。その相手が自分の父親であればなおさらです。
子供は一人で生きていくことができず、親の庇護を必要とします。だから親の怒りは、子供にとって恐怖の対象でであり、とても強く影響します。この男性は結婚して、自分に子供がいる年齢になっています。彼はそれでも、子供の頃の影響を受け続けていました。
彼は父親によく叱られたことが、自分に影響していることを薄々感じていました。それを妻に指摘されたことについて、「自分で薄々感じていることでも、人からはっきり言われると印象が変わるものです。言われるのを待っていたのかもしれません。父とどう向き合うかがテーマになりました」と私に話してくれました。
誰かに強い影響を受けるというのは、その人物の言動に囚われるということです。するとお互いの関係について、一面的な見方しかできなくなります。しかし、その影響に気づけば囚われから抜け出して、相手との別の体験を思い出せるようになります
彼は「泣き虫だった自分が、父親に『泣くな!』」と叱られるという体験」を思い出すことで、その影響に気づき、囚われから抜け出すことができました。そうして、父親とのポジティブな体験を思い出す準備ができました。だから彼は「父とどう向き合うかがテーマになった」と言えたのです。
誰の影響を受けているのか?

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人物の影響を自覚すると、「失敗を必要以上にこだわりすぎる」といった傾向が解消されていることにふとした時に気づきます。この「思い出すことで人生を変える」のが、マインドレコーディングのメリットです。
世の中には「失敗を恐れるな!」といった何も具体的ではないアドバイスや、「こうすれば恐怖を克服できる」という恐怖そのものにアプローチするインスタントなアドバイスが横行しています。しかし、そういうものは無意味です。
人は「物事」ではなく「人物」の影響を受けています。もし「自分は何かが変だ」と感じているのなら、それが誰の影響なのかに気づき、その人物と向き合うしかありません。
この男性は「自分の中にいる、誰かを特定してそれを認めるという視点を持つことに気づかせていただいて感謝しております。何でも話せて何でも話してもらえるような軽やかな雰囲気になることが今は理想ですね」と話してくれました。自分の心を整え続ければ、その未来がきっと来ます。引き続き様々な事例を紹介することで、応援したいと思います。